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このブログは『TW2 Silver rain』の神谷崎刹那、及びその背後が書いている日記です。
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プロフィール
HN:
神谷崎刹那
年齢:
24
性別:
女性
誕生日:
1993/02/10
職業:
中学生
趣味:
読書、家事全般
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~前書き~

新たな門出を迎えて数日後、恐らく誰もが羽を伸ばす寝正月の頃。
本来なら学校などある筈がなく、閑散とした銀誓館学園校内。
あるいは、いつもと違うが故に長く見えてしまう寂しげな廊下。
そして、机だけが並んだ静かな教室を、賑わす影が七つあった。
その大きさも性別もちぐはぐばらばらな七つは、傍から見れば共通点を見出せない。
そんな彼らにある一つの大きな符号。
それは、『能力者』である、ということ。
これは、降り注ぐ銀の雨、Silver Rain の一つの断片。
異形と戦う者達の物語である。

注:色々脚色されたりしています、又、背後の文章力は皆無です。
それを了承した上でお読みください。
苦情は受け付けません、誤字脱字はお知らせくださいませ。偽MSより。

~Chapter 1~



ガラガラ、と教室のドアが開く。
「こんにちはー……」
まったりとした口調と共に、彩咲・かなでは、ドアを開けた平賀・万葉とともに教室へと足を踏み入れた。
その後に続いて、先ほどまでかなでと新年の挨拶を交わしていた浅野・クリューナ夢衣、そして巫女服を纏った夜白・雛が、めいめい姿を現す。
中には、小さな女の子が奥の方で座っており、そして彼女に寄り添うような形で金髪で背の高い少女が立っていた。
なぜか忍者の衣装を纏った金髪少女は、皆がそろったのを確認し口を開く。
「Hi!さっきはいきなり済みませんデシタ、皆さんよくいらっしゃいましタ!ボク、ちょっとわけアリマシテ運命予報士の補助を頼まれましたアリス・ワイズマン言いマス。よろしくネ!それで、彼女が運命予報士の三枝・まつりサン」
アリスに示され、まつりはおずおずと立ち上がり、ぺこりと頭を下げた。
そして、席に戻ると、ノートパソコンを取り出し、かたかたと、ケーブルでつながった備え付けの大型ディスプレイへとタイプするのだった。
「こんにちは、先輩方。初めまして……運命予報士の三枝まつりです。お返事も出来ないこと、お許し下さい。でも、今はそれは後にして……運命を見ました。今回 の犠牲者は、小学生の男の子です。まだ起こっていない事件のようですが、すぐに起こった事件になってしまうでしょう」
「……まだ起こってないのね」
真剣な表情で画面を見つめる夢衣。
その隣には万葉が座り、窓辺では、雛も千歳飴を咥えながらぼんやりと画面を眺めていた。
「…新年早々お仕事…ですね」
かなでの一言で、改めて気分を切り替える一行。
教室の空気も、寒さとは違う何かで研ぎ澄まされる。
「事件がおきるのは『星奉神社』、 少なくとも、子供が死ぬのは明日。『必死に逃げる子供たち、吠える犬、そして悲鳴』『呆然と佇む振袖の子供の形相が、段々と悪鬼のごとく変わり……』『夕暮れに血のような、あるいは炎のような赤に染まる振袖』『寒々しいひとつの笑い声が、あちらこちらからわき起こる同じように寒々しい笑い声と混じり合う……』」
刻まれていく予報の断章。
生々しく、恐ろしくもあるその言葉の一つ一つに、異形の狂気が入り混じる。
「血祭りか、新年早々物騒な事だね」
嘆息交じりに万葉。
「うん、何としても防ぎたいわ」
決意を込めて夢衣。
「災厄を私達の手で、何としても食い止めねばなりませんね」
そして静かにかなでが続く。
「どうか……もう、怖い目に会う子を出さないであげて下さい、先輩方。お願いします」
少しの間瞑目していたまつりは、自らの胸中と共に、頭を下げる。
「はい、この彩咲かなで、粉骨砕身の覚悟で頑張ります」
「了承、ちっこいのの頼みは断れないからな」
敬礼しそうなかなでを見ながら、雛はマイペースに微笑むのだった。



~Chapter 2~



学校の先生に尋ねて、場所を割り出した一行は、宮台駅へと降り立った。
改札を出て、駅から一歩出た所で鳴り出す夢衣の携帯。
「追加情報が見えマシタ。何か……罠ががしゃんと閉じるイメージが浮かんだそうデス。被害者は三人連れ、犬が一緒ナノも見えました。それと、リーダーの名前は、海野 司クン。それだけわかりマシタ。後はまた判り次第、デスね」
と、通話ボタンを押した途端、先ほども聞いた不思議な日本語がまくし立てる。
「引き続きお願いします、と…まつりちゃんにも伝えて下さいね」
「……お姉ちゃん達がちゃんとヤッテくれてる、と伝えておきマスよ」
かくして、新たな情報を得た一行は、星奉神社へと向かい歩いてゆく。
十数分、歩いていくと、目的の神社が眼前に、そして、その近くを妙齢の女性が困った様子で何かを探すように右往左往。
やがて、一行を見つけると縋る様に近づいてきた。
「あの、すみません、髪の短い男の子を見ませんでした?息子なんですけど、朝からいなくなったきり帰ってこなくって。どこまで行ったのかしら……あの子がお昼になっても帰って来ないなんて」
戦々恐々とした女性の表情を見て、かなでは問う。
「えと…息子さんのお名前を聞いてもよろしいでしょうか??」
「海野 司と言います。犬の名前はヤツフサなんですが……」
「司さん…ですか??私たちは見かけておりませんね、どこへ遊びにいくとかおっしゃっていませんでしたか??」
「神社に行くと言ってたんですけど……そちらにはいなかったんですよ。あの子、変な場所に入り込んでなければいいけど……」
「神社って・・・変なうわさがあるらしいですよね」
「あの子、すごいやんちゃで……いつもいけないって言われてるところに入ってばかりいますから、ちょっと心配なだけで。まあ、いつだってケロっとした顔で帰って来るんですけどね。神社も、最近へんな噂があるせいでかえって興味を持ってしまったみたいで……何でも、お祭りごとのたびに、近所で見かけない振袖の子供が歩いてるのを見かけるそうで……ただ、その子供が来るのも、帰って行くのも誰も見たことがないとか。」
「ちょうど一年くらい前でしたね、噂が出たのは。そうそう、一年前って言えば、あのご夫婦がよく来るようになった頃だわね……そのせいもあるのかしら」
「あのご夫婦……ですか?」
「ええ……あの、ここだけの話よ?まだお若いのに、新年を待たずに娘さんを事故で亡くしてしまったとかで」
「それから、足しげく神社に通ってきて……その子の生まれた時にお参りしたらしくって。はたから見てるだけでも辛そうで……もし見かけたら、そっとしておかなきゃダメよ?」
「は、はい……」
「……子供……??」
最後にぽつりと、思い出したかのように呟くと、きょとんとした表情で、静寂。
やがて、女性は、神社のほうを振り向いて、首を傾げ、
「ええ、そうよね……いなかったわ……」
と、一人ごちた。
「……わしらは神社へ行くところなんだ、ついでにもう一度見て来てあげるよ。暇だからね」
と、気まずい静寂を万葉が破る。
勿論、営業スマイルも忘れずに。
「見ず知らずの方ですのにどうもすみません……それではお願いします」
「必ず伝えますね」
「了解、では、私たちも失礼しよう」
深々と頭を下げる女性に見送られ、一行は神社へと入っていくのだった。
 

~Chapter 3~



鳥居、鳥居、鳥居。
それはなんとも嫌になる情景。
 目の前に延々と連なる苔むした狭い石段。
古く、もろくなったそれはいかにも登ってはいけない雰囲気をかもし出している。
「……登りたくないよ」
「頑張ってください」
「浅野がおんぶしてくれたら嬉しいな」
軽口を交わしながらのろのろと登っていく一行。
「んぁ、この程度なら楽勝さね♪」
と、駆け足で登っていく雛を除いてではあるが。
万葉達が励ましあいながら登りきると、その先には土を敷かれた境内、そしてその奥には主殿があった。
さて、どうするかと話し合った後、かなでと万葉、雛と夢衣に分かれて調査をすることになった。

~雛・夢衣Side~
神社全周をぐるっとまわりながら探す事にした二人。
とはいえ、探すという行為が苦手な雛は、夢衣の後ろについて有事のサポートぐらいしかする気はなかったのだが。

「司君達を見つけて守りたいのだけど……どこにいるのかな??」
立ち止まって目を瞑り、辺りを探る様に瞑目する夢衣。
数瞬じっとしていたかと思うと、何を見つけたのか、夢衣は、神社の隅の方へと歩いてゆく。
迷いなく歩く夢衣に導かれるようにして、雛もそれに続いていく。
すると、その先には小さな社。
その周囲がうすく、解れる様にしてぶれている。
「……??」
注意深く夢衣が目を凝らす。
社を中心とした解れの中には、落ちてかけた鏡と、封印のかけられた書状が鎮座していた。
封を開くと、古めかしい字の羅列、そして書状に縫い付けられた白い一つの玉。
この辺りは古来より子供を捨てるための場所であり、この神社はその供養のためのものらしい。
この手紙の筆者は将来ここに集った思念を救ってほしいと筆を取った、そんな想像をして雛は酷薄な笑みを浮かべた。
「……これはまた、今日の夕飯が実においしそうになるお話だこと」
嘆息一つ、懐に手紙をしまうと、報告の為に急ぐのだった。

~かなで・万葉Side~
面倒だ、実に面倒だ。
万葉は、ふぅらふぅらと辺りを見回しながら、思考の片隅に常に現れる思いを実感していた。
「……さて、休めそうな場所は……」
やがて後ろに感じる気配、そして、どことなく咎める視線。
「……ちゃんと探しているよ??」
「ほんとうですか??」
かなでの叱責を逃れるかの様に、ゆったりとごまかす万葉。
人気のない場所を重点的に探す二人は、もう一方とは違って雑木林や主殿の影など、比較的死角を虱潰しに回って行く。
やがて、雑木林の奥へ行った二人の耳に、泣き声のような音がかすかに届く。
「……ほら、当たりだよ。見つけてしまったという方が正しいがね」
苦笑を顔に貼り付け、かなでに目を向ける。
その先には、綺麗な振袖を着た、小学生になる前ほどの年の女の子が、小さく蹲って泣いているのだった。
「やぁ、どうしたんだい、迷子かい??」
「ふぇ……おねえちゃん、だぁれ??」
「うん??わしは怖いお姉さんだよ、万葉と呼ぶと良い」
「お、おねえちゃんも怖いの……??もしかして、司くんたちを……」
「司君がどうしたんだい?あと君がどうして泣いているかも知りたいな」
おそらくいっぱいいっぱいであろう少女に出来るだけ優しく万葉は問いかける。
「うぅ……あの、あのね。司くん達と遊んでたらね、あの子がね、司くんたちを追い回して殺しちゃうっていきなり……えっぐ、うぐっ……どうしてって言ったら、お友達になりたいからって……司くんたちがひどい目にあったり、お母さんたちが泣くのはみんな小鈴のせいなんだって……よくわかんないよぉ……」
「このぬいぐるみをあげよう、蜘蛛だが可愛いよ??それで、司君達はどこへ行ったのかな??」
にこりと笑みを向け、そしてポケットから差し出されるぬいぐるみ。
「ひっく、ひぐっ……うん、ありがと……こっち」
示された方向。
その先にはかすかに見える、大樹のうろ。
ぽっかりと口を開けたそれは、薄ら寒い気配を内包し、奈落を連想させる。
「有り難う。ではもう泣かなくても良いよ、君が教えてくれたおかげで司くんが助かるのだからね」
大体の目星も付いた二人は、とりあえず、少女を泣き止むまであやし続けるのであった。

「あ……その子って、もしかして?」
解れの報告に合流した夢衣。
少女はいまだぐずついたまま、頭の中を必死に整理していた。
「小鈴ね、小鈴ね……」
少女に自らが死んだ自覚はなく、ただ、死後に母親から聞いた着物を着せたかったという言葉に従って着物を着続けていたらしい。
おそらく、司はそんな彼女を見つけて一緒に遊んでいたのではないか。
そんな憶測が一行の脳裏によぎる。
「そういえば……」
夢衣は、そう口を開くと解れと手紙、そして白い玉と鏡の報告をしていく。
一通り話し終えると、やれやれと言わんばかりに、万葉は、
「寿命が短いわりにヒトは気が長いよね」
と、呟いた。
「自分が朽ちても未来は繋がっているのを人は知っていますから、自分の想いを未来に伝えたいとか、そういうことじゃないのでしょうか?……あれ? スベって……ませんよね?」
意気込んで輝かしい持論を話すかなで。
そんな彼女が少々うらやましい雛である。
「では、奥へ行こうか」
万葉がゆっくりとうろへと近づいていく。
近くで見ると、そのうろは違う空間へと繋がっている事が明らかだった。
その先にある自縛霊の待つ空間、それはいわば伏魔殿。
入ったら命のやり取りに勝つまで抜けられない空間である。
「おねえちゃんたち、本当に司くんたちを助けてくれるの??ほんと??」
ようやく泣き止んだのか、潤んだ目がこちらを見つめる。
「うぁ、これだからちっこいのの頼みは断れないんだ」
はぁ、と溜息を吐きながら、一行はうろの先へと飛び込んだ。
 

~Chapter 4~
 

うろを抜けた先は、鬱屈とした世界だった。
木々は朽ち果て、空は暗く、人の負の感情を掻き立てるかのような不細工な世界。
「特殊…空間??」
「ふふっ、趣味が悪いな」
どんよりとした曇天の下進む一行。
やがて、犬の遠吠えを耳に挟むと、その方向へと進んでゆく。
「この声は…なんでしょうか…?」
「件の司くんかその仲間だろうね」
万葉が呟く刹那、子供の声がかすかに聞こえ。
「一(はじめ)っ、早く大ちゃん連れてけよ!」
「あ、足くじいちゃって……」
やり取りに一抹の不安を覚えた一行。
「行こう!」
すぐさま、一行は弾かれたかのように声の元へと向かっていく。
駆ける先にはうっすらと薫る鉄の匂い。
先に見えるは青き狼、その身に剣を生やした異形。
相対するは、少年達。
その手に枝と石を持ち、決死の抵抗を試みる。
お供の犬も果敢に吼え猛り、その身の傷も苦としない。
されども、彼らに猶予はないだろう。
所詮はただの人間、その命は風前の灯に等しい。
「んじゃ、たったとぶち抜かせていただきますよっと♪」
背負った長物の包みを解き、黒く輝く槍を一閃。
狼達を線に捕らえ、一振り薙いで打ち払う。
「てーいっ」
打ち散らした狼達に降って注ぐは札の雨。
かなでの魔力が込められたそれは禍く彼らを歪めて喰らう。
「えいっ!」
残りに投げつけられるは枕、修学旅行のお供である。
だが、それも詠唱銀で強められ、対魔の功は十分にある。
見た目はなんともシュールであるが。
十分な隙を作り出し、二つの間に割って入る一行。
なぎ倒された異形の群は、ゆらりと消えて残るは二体。
剣狼は鋭い牙をとぎ、カナリアと混ざった蟷螂は、羽ばたきながら鎌を研ぐ。
蟻と混ざった猪は、吐息も荒く蹄を鳴らす。
向かいに立つ雛は巫女装束に槍を片手に引っさげて、堂々と前に立ちふさがる。
万葉は鬼面で顔を隠し、その下に何を思うが知らないが、その蜘蛛たる所以のままに、鋭い殺気を投げかける。
その後ろにはかなでと夢衣が、それぞれナイフと枕を手に、それぞれの己が衣装を身に纏い、戦場に凛と咲き誇る。
それはまさしく歴戦の勇姿、百戦錬磨というべきだろう。
「きっかけ掴めれば前に進める、そう信じてるから!」
祈る様に前を見つめるかなで。
その周囲を、風の加護を受けるかの様に疾風が包み込んでゆく。
なびく髪とはためく袴、そして、再びナイフを構える。
その前を素早く万葉が駆け抜ける。
「恨みはないが食らいたまえ」
言うが早いか肉薄し、自らの身を省みぬ業火の拳を空に向かって叩き込む。
轟というすさまじい威力がカナリアへとぶつけられ、一撃には耐えるもその身を焦がす炎で、容赦なくその身は燃やし尽くされた。
素早く動ける敵を葬り、準備をし終えた夢衣。
「雛さん、支援は任せて!」
その身に宿る聖なる蟲を加護へと変えて雛へと祈りを向ける。
「うや、さんきゅ♪」
白く輝く槍を回して円を描き、雛の指先は文様を描く。
古くに失われた筈の技術、魔法円の作成。
「Right or Left 君はどっちに行くのかな??こっちだろう、多分」
描き出された赤き円陣は鋭く燃える焦熱の槍。
その穂先は、台詞とは裏腹に確実に猪を捕らえ、その刹那、その身に突き刺さり、爆ぜ消える。
同胞をやられた狼は、怯えることなく憤怒を表す。
その鋭い刃は万葉を狙い、飛び掛る。
「やぁ、痛いね」
上手くステップを踏んでかわす万葉。
その肌を掠めるように狼の剣閃は振り下ろされた。
焼かれた猪をおいしそうに見つめる雛の横で、かなでは先とは違う方陣を切り、ナイフを掲げる。
「ま、まさかあの…食べたりしませんよね?」
魔弾の射手と呼ばれる自己強化術は、ナイフを包み込み、輪郭に淡い光を宿す。
「都合よく殴れそうなところにいるね?」
ふぅ、と一つ息を吐き、先の業火の余波を消し去る。
「このオオカミの寿命はここまでだね」
跳躍、閃光、狗吠。
その右手にかたどられた聖なる槍は瞬く間に狼を地へと縫い付ける。
「あぁ、そうか……君もそういった面倒な類か」
しぶとく立ち上がろうとする狼に対してゆっくりと近づき、無慈悲なる一撃を叩き込む。
「其は名高き真紅の刃、打ち貫かれて消えうせよ、なんて、そうそうかっこよくもないか」
冥土の土産と言わんばかりに、ぼそりと一つ、雛は呟く。
粗方の雑魚を蹴散らした後、少年達は震えながらも、首をかしげた。
「ね、姉ちゃんたち……助けに来てくれたのか??正義のヒーローか??」
彼らからすれば能力者も十分畏怖の対象である。
「お怪我はありませんか?」
「あ、ヤツフサが怪我してるんだ……早く家に連れて帰ってやらないと」
「えっと…とりあえず…これを、こうして……」
犬の応急処置を終え、一息ついた一行は、少年達に問いかける。
問われた後、少年の一人が不安に駆られて話し始める。
「ね、ねえ、早く逃げようよ……またあの子が来るよ」
「あの子?」
「お、おかげで助かりました……ずっと追い掛け回されてひどい目にあったけど、何とかヤツフサ以外には怪我はないです……」
 「手当てはなれていますから、応急処置ですから家に帰ったらすぐ動物病院に連れて行ってあげてくださいね…あの子とは?」
「オレ達をいきなりここに引っ張り込んだ女だ!」
一行の疑問、そして、少年達の回答。
「ほぅ、で、そのたわけはどんな身なりをしていたんだい??」
「ん、なんかぼろぼろの服着ててさ。何かやな奴だった……近づくと、こう物凄く寒くなるんだ。僕達と同じくらいの年でした……ちょうどあんな感じの……って、出たぁ!」
指差す先にはぼろぼろの振袖に汚れた肢体、あちこちに引っ掛けて転んで泥にまみれて、そんな小さな女の子の姿が、しかし不気味にゆれている。
「ああ、来たか。真打は遅れて現われるのだね……うっわ、またちっこいのか……戦いにくいが、こいつも定め、まぁ一つ、私の槍の錆となれ」
「退治てくれよう桃太郎」
くすくすと、鬼面の下で微笑む万葉、情をすて、槍を構える雛。
「元々、戦うしかなかったんだよね…きっと」
「いつでも用意は出来ていますよ」
寂しげに表情を伏せる夢衣、唇を結んで敵を見据えるかなで。
そんな中、不意に白い玉が光り輝き、少女の霊をからめ取る。
鈍くなった動きを見つめ、黒幕退治へ移行する。
「なんだか…聞いたことあるような気がします」
玉の事か怨霊の事か。
そんな、彼女だけに意味を持つ呟きが風と共に疾駆する。
すさまじい速度から繰り出される必殺の刃は瞬く間に狼を容易く両断する。
「正月くらい休ませてもらえないかい??」
開幕の隙に乗じて、繰っていた土ぐもの糸を投げかける万葉。
柔硬自在な蜘蛛の糸は全てを残らず絡めとり、動かない状態に仕上げていく。
「万葉さんのやる気のなさを……感じます」
その隙を作ったかなでの表情は薄い苦笑いが飾られていた。
子供達の怨念が集った少女は、蜘蛛の糸の難を逃れたらしく、周囲の怨念を次々と喰らってゆく。
その度に徐々に禍々しい気配が強まり、負の感情を掻き立てる。
狂気の中をいち早く動いた夢衣。
その手には先ほど加護に使った蟲を、今度は喰らう刃に変えて。
「今相手にしないといけないのは、そこの子供達だけよ」
打ち放たれた虫達の刃は更に拡散して白い弾丸の様に広く打ち落としてゆく。
その量は夢衣の怒りのためか通常よりも多く、がりがりと相手を貫く一撃。
「さぁて、悪い子をちぃと調教しないとね」
雨霰の白亜を見ながら雛は再び方陣を描く。
先ほどかなでが使った自己強化魔法の一種、魔弾の射手。
かなでより、より西洋的な方陣は槍の穂先に力を与える。
そのまま、押し切るような形で雨霰を掻い潜ったかなで。
「つまり、そういうことなのです」
にやりと一つ、笑みを浮かべて更に狼を一体両断。
その姿はまさに疾風怒濤のごとく、綺麗なまでの一刀が閃いた。
「子供と戦うのは悲しいね??」
糸を繰っていた分の浪費を取り戻すように自問、あるいは詰問する万葉。
その瞳には屈折することのない気迫を湛えて。
「こいつは任せてもらおうかな」
怨念の塊であるマイクを持った青年に鬼面をぶつける。
よろめくように動いた彼は、しかしまだ戦場に残っている。
そして、ぐらりと悪夢が揺れる。
少女の手がかざされた刹那、ぐしゃりと、重圧の様な怨念の塊が雛を押しつぶす。
そのどす黒い波は絶対的なまでの威力で、中学生の体を地面へと容赦なく叩きつける。
「だが、しかし断る」
肺腑の圧迫を押し返すように槍を胸の前にかざし、生命機能への被害を食い止める。
ぐらりと意識が揺れるも、まだ刈り取られるには足りない。
「あなたに用はないって言ったでしょ!」
雛が体制を整える間を、夢衣の白い雨が作り出す。
驟雨の如き白い蟲は、ラッパーの怨念を白い絵の具の様に塗りつぶした。
目の前にある壁も失せ、残るは彼の少女のみ。
「君の行動はすべてお見通しさ♪」
いつの間にか飛び出していた雛の明るい声色。
しかしその目は笑っておらず。
とん、と跳躍、槍を回し、軌跡を円に見立て切る。
先に見せた焦熱の槍の円陣、真っ赤に滾る滅炎の吼。
「雛さんのその一撃のために!!」
「ここは協力するのが妥当だね」
逃げ場を失くすかの様に夢衣と万葉が牽制を飛ばす。
天に聳える破壊の杖、それは、易く、眼前の異形へと振り下ろされる。
「つらぬけぇぇぇぇぇっ♪」
呼砲とでも言うかの様な言霊を添えて、閃光、後れて爆音。
周囲の怨念をこそげ取られたかに見える少女は、しかし未だに戦場に立っている。
「いや、もう避けられないよ」
ダメージに鈍った動きを捉え、万葉の援護を受けたかなでが宙に三日月を描く。
不可視の綺麗な流線はずんと少女を打ち上げ、その肢体は自然の摂理で地に落ちる。
「ねえ、死んでよ……一緒に、いようよ……??」
殆ど虫の息となった少女は、か細い声で呼びかける。
最早その響きに絶望を呼ぶ力など無く、ただ、悲しいだけの音色となって。
「……一緒にはいけないわ。だって、あたし達は生きてるんだから」
少し目を伏せ、確かに夢衣は言葉を紡ぐ。
それは少女を哀れに思う、彼女の優しさだろう。
「あなたと!!……行くわけにはいかないよ??」
くすりと、やはり読めない笑みを浮かべ、再び紅蓮を手にまとう。
諸刃の一撃は少女を捕らえ、大地を削り、空を屠る。
断末魔の様な一瞬の赤光の後、静寂が訪れた。
透き通った炎がぱちりと爆ぜる様に揺れ、少女を取り巻いていた黒い影は火に炊き上げられ、光の粒と成り消えてゆく。
それは終焉を表す光、咎を許す浄化の焔。
「……お母さん……迎えに来てくれたの??」
最後に少女はふと微笑んで、そして泣きながら、消えていくのだった。
 

~Ending~
 


少女が消えた、灰の世界。
それは静かに風に吹かれ、やがて緑が移り変わるようにして崩れ去ってゆく。
「もう、悪い夢を見ることがありませんように」
かなでは空を仰ぎ、祈りを込める。
「あー、ったく、体中がいてー」
ただ一人、鳴き声を受けた雛は地面に寝転び、天を仰いで満足そうに目を細めた。
「……」
消えてしまった子供のいたところを見つめ、黙祷を捧げる夢衣。
「お疲れ様だね」
やがて掛けられた万葉のねぎらいの言葉。
それは、この一つの寂しい事件の、終止符となるのであった。
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