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このブログは『TW2 Silver rain』の神谷崎刹那、及びその背後が書いている日記です。
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プロフィール
HN:
神谷崎刹那
年齢:
31
性別:
女性
誕生日:
1993/02/10
職業:
中学生
趣味:
読書、家事全般
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一風違った感じだね…これは…。
当然見たいなら下へ。

雨が降っていた。
過去稀に見る勢いで。
降雨量は過去最高から二番目となり、これからも伸びる兆しを見せていた。
激しい雨音が数多くの民家の屋根を叩く。
無論、この学校も雨に濡れて言いようの無い静けさに包まれていた。
そんな中、一人の少女が窓辺で物憂げな視線を外に投げかけている。
流れる様な黒髪は特に細工もせずに流してあり、独特の野性的な存在感を含んでいる。
漆黒の瞳は憂いに翳り、宝石の様な存在感を持っていた。
華奢な肉体に雪の様に白い皮膚が一層、少女の儚さを示していた。
少女の名は神谷崎刹那、先祖より宮の紅魔術師―戦事全般を司る紅い服を着た魔術師―として暗躍をしていた家系の一粒種である。
彼女の家系は本来『赤』または『紅』にちなんだ物が名に入るのだが、彼女だけは違う。
両親が家の繋がりよりも名の意味に執着したからである。
とは言え、彼女が好きな花は紅い彼岸花なのだが…。
「傘………忘れたなぁ…。」
朝までは晴れていた空を見上げ、恨めしげに呟く。
校庭には赤や青などの色とりどりの傘の花が咲き誇っている。
その光景を遠い目をして眺めていた。
「どうしようかな……帰るに帰れませんし…図書室にでも行きましょうか…。」
ため息を吐き、重い腰を上げる。
歩みを運ぶ先は刹那が最も好きな空間―図書室―。
書架という名の樹木が生い茂り、本という名の実を結ぶ未開の森。
その人工的に作られた森は、知識の泉として絶えず湧き出している。
その中から一掬いの水を、あるいは一つの果実をもぎ取って席に着く。
それが彼女の日課である。
「……そういえば…殆ど読んでしまったんですよね…。ここの本は…。」
呟きつつお気に入りの一冊の童話を手に取る。
『欠けたる杯に、君は何を入れる??
 私は酒と大きな月を浮かべよう。
 割れた器に入れた酒は、
 きっと零れてしまうだろう。
 零れた物は雫となって
 下にある地に降り注ぐであろう。
 その雫は人々の
 心を潤す雨となりて
 世界を癒し、包むであろう。』
ふと、目を落とした一説である。
そして、外を見る。
外は豪雨、ここに書いてある事が嘘の様な、災いを呼ぶ前触れにも似た凄まじい滝である。
一瞬馬鹿馬鹿しい様な言いようの無い思いを抱く。
「……どんな事でも場合によっては見方が変わるものなんですねぇ…。」
本からふと目を離し、しみじみと思いついたかのように呟く。
『校内放送です。坑内に残っている生徒は直ちに下校してください。繰り返します……。』
どうやらもう学校の閉門時間らしい。
「困ったですね……傘は無いのですが…。」
仕方がないので、走って帰ることにした。
とは言え土砂降りの雨である。
校庭を出るまでに服はずぶ濡れになり、体から急激に熱を奪っていく。
走っているのにも関わらず、肌寒さを感じていた。
「やっぱり…寒い…。っくしゅん……。」
走りながら、くしゃみをする。
ほんのりと朱を帯びた肌と微妙に青ざめた唇。
明らかに風邪である。
「……早く帰ってお風呂にでも入ろうかな…。」
雨に言葉を紛らせ、再び駆け出した。

家に着いた時、時刻は六時を回っていた。
結局、彼女は一時間ほど外にいた事になる。
濡れた制服をとりあえず絞って水滴が落ちないようにして、家に入る。
家には誰もいないらしく、しんとした静寂が漂っていた。
「ただいま………って、誰も居ませんよね…。」
独り言の様に呟き、靴を脱ぐ。
当然靴も濡れているので、乾かす為に中に新聞紙を丸めて入れておく。
そして、一度自室に入り、洋服棚から寝具と下着を取り出して下に向かう。
「っくしゅん……お風呂お風呂~♪♪」
身体を冷やしてしまった時は芯から暖めるのが一番。
服を脱ぎ、タオルを巻いて浴室へと向かう。
ふわりとした蒸気が身体を包み、思わず上機嫌になる。
自然と鼻歌が零れ、顔を微笑ましていく。
「うん……湯加減はこれぐらいかな…。」
美しい肢体をほんのりとした桜色に染めて湯の温度を確かめる。
その後でシャワーを出して身体を洗う。
ほんのりと石鹸の様な良い香りが漂う。
彼女は泡の優しい感触を楽しむかのように入念に手入れをしていく。
シャワーからお湯を出して石鹸を落とし、自慢の長い黒髪の手入れへと移る。
ゆっくりと櫛を通すかのように丁寧な手つきで洗っていく。
その動作には一部の隙も無駄も無く、女性的な優雅さを感じさせた。
髪を洗い終えた彼女は髪を結い合わせて散らばらないようにし、浴槽に足をつける。
温かい感触が足を、そして身体を徐々に包み込んでいく。
その心地良さは形容しがたい物があったが、今の彼女に言わせれば『天国』であろう。
思わず眠ってしまいそうになるのを堪えて、湯に身を委ねる。
なんだか、今までの疲れが全部抜けていく様な錯覚に捉われる。
「気持ち良いなぁ……。」
のんびりと温まり、少し頭がぼんやりとしてきた所であがる。
シャワーから湯を、そして少しずつ温度を下げて冷水を浴びて浴室を後にする。
体と頭を丁寧に拭き、洋服を着た彼女は自室に戻るとともにベッドに倒れこみ眠りについた。
どうやら疲れが溜まっていたのか、とても安らかな寝顔で、穏やかな寝息を立てている。
ふわりと石鹸の甘い香りが鼻腔を掠める。
その時、ふと少女が微笑んだような気がした。
どうやら今日は良い夢が見られているらしい。
彼女がいつ起きるかは分からないが、きっと夢の中で楽しく一時の安らぎを得ている事であろう…。
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